大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。
この記事でわかること
・8月18日の東京市場
・昨日の決算に、市場が答えを出す日
・パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)──計画は超えた。来期が動かない
・北川精機(6327)──利益だけが計画を大きく超えた
・【本日発表予定】あい ホールディングス(3076)
・今後の決算発表予定──またぎ注意
8月18日の東京市場
| 指標 | 終値 | 前日比 |
| 日経平均 | 6万7460円73銭 | 1759円52銭安(▲2.54%) |
| TOPIX | 4140.22 | 43.89pt安(▲1.05%) |
| プライム平均株価 | ― | ▲0.27% |
| 上げた銘柄/下げた銘柄 | 722/784 | 46.4%/50.4% |
※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。
18日の日経平均は1759円52銭安の6万7460円73銭で、6営業日ぶりに反落した。下落率は2.54%になる。前日まで5日続伸で3600円あまり上げてきたので、下げ幅そのものは大きいが、上げてきた幅の半分にも届いていない。
下げの材料は3つある。前日の米国市場でダウ・ナスダック・S&P500の主要3指数がそろって続落したこと。米国とイランの交渉を巡る不透明感から、原油先物と米長期金利が上昇したこと。そして国内の長期金利が上昇し、これが株価の重しになったことだ。日経平均ボラティリティー・インデックスは33.30まで上げている(前日比+3.83、上昇率13.00%)。
ここで数字を並べ直したい。日経平均は▲2.54%だが、TOPIXは▲1.05%、プライム平均株価は▲0.27%だ。上げた銘柄は722で46.4%、下げた銘柄は784で50.4%。半分近い銘柄は上げている。指数の下げ幅ほどには、市場全体が売られた日ではない。
差はセクターに出た。値下がり率の上位は電気機器・金属製品・ガラス土石製品・非鉄金属・機械で、値上がり率の上位は海運業・鉱業・石油石炭製品・鉄鋼・医薬品。日経平均へのマイナス寄与はアドバンテスト・東京エレクトロン・ファーストリテイリングが上位を占め、プラス寄与にはソフトバンクグループ・三菱商事・武田薬品工業が並んだ。金利上昇と原油高で買われる側と売られる側が、きれいに分かれている。
つまり18日は全面安の日ではなく、資金の置き場所が半導体からエネルギー・海運・素材へ移った日と読むほうが実態に近い。持ち株が何のセクターかで、体感はまるで違ったはずだ。25日移動平均線からの乖離率は2.43%まで縮んでいる(前日は5.03%)。
昨日の決算に、市場が答えを出す日
今日19日に決算発表を予定するのは2社。うち事業会社はあい ホールディングス(3076)の1社だけで、もう1社はREITだ。数のうえでは静かな日になる。
ただ、今日の本当の材料は今日の発表ではない。昨日18日の引け後に出た2社の決算に、今日の市場が値段を付ける。パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)が15時30分、北川精機(6327)が15時35分の開示だった。どちらも取引が終わってからの数字なので、18日の終値はまだ決算を見ていない値段である。
結論から書くと、2社とも会社計画を超えて着地した。それでも今日の値動きが揃うとは限らない。分かれ目は着地の数字ではなく、同時に出た来期の計画にある。ここが今日いちばん見ておきたいところだ。
パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)──計画は超えた。来期が動かない
ドン・キホーテ、ユニー、アピタを展開する会社の2026年6月期本決算だ。まず着地から見る。
| 項目 | 実績 | 会社計画 | 計画比 | 前期比 |
| 売上高 | 2兆4452億6000万円 | 2兆4350億円 | +0.42% | +8.84% |
| 営業利益 | 1748億4200万円 | 1740億円 | +0.48% | +7.73% |
| 経常利益 | 1775億900万円 | ― | ― | +11.96% |
| 純利益 | 1100億8800万円 | 1070億円 | +2.89% | +21.63% |
4項目すべてが計画を超えた。純利益は前期比21.63%増で、営業利益の伸び7.73%を大きく上回っている。
昨日の記事で、私は4Qの3か月に必要な額を出しておいた。売上高6084億6600万円、営業利益364億7900万円、純利益130億3400万円。実際の4Q単独は売上高6187億2600万円、営業利益373億2100万円、純利益161億2200万円だった。純利益は必要額の123.69%を出している。前期並みを出せば計画に届く計算だと書いたが、そのとおりの着地になった。
配当も上がった。今期の年間配当は9.5円で着地している。昨日の時点の会社予想は8.5円だったので、11.76%の増配だ。
来期計画の置き方
問題はここからだ。同時に出た2027年6月期の会社計画を見てほしい。
| 項目 | 来期計画 | 今期実績比 |
| 売上高 | 2兆6870億円 | +9.89% |
| 営業利益 | 1790億円 | +2.38% |
| 経常利益 | 1753億円 | ▲1.24% |
| 純利益 | 1105億円 | +0.37% |
売上を9.89%伸ばす計画に対して、営業利益は2.38%、純利益は0.37%しか伸びない置き方だ。経常利益にいたっては1.24%の減益になっている。増収の割に利益が伸びない形と読める。
昨日の記事で私はこう書いた。今期計画は前期比で売上高8.38%増、営業利益7.21%増、純利益18.22%増。来期がこれを上回る形で置かれるかどうか。着地の数字より来期計画の置き方を先に見る、と。答えは出た。来期計画は今期計画の置き方を、利益の面で下回っている。
スイング目線
18日終値は915円50銭で前日比+0.70%。高値927円20銭・安値908円40銭、日中値幅2.07%だった。出来高1587万4400株は20日平均の1.66倍で、売買代金は145億4800万円。日経平均が2.54%下げた日に逆行して上げている。20日平均の日中値幅は2.77%と、もともと荒い銘柄ではない。
株価の位置も見ておきたい。7月1日の793円60銭から18日まで15.36%上げてきた。直近70日の高値は7月29日の984円50銭で、そこからは7.01%下にいる。上げてきた位置で、決算を迎えた形だ。
Point
着地は良い。増配もした。それでも今日の値動きを決めるのは、来期の利益計画をどう受け取るかだと読める。私の本にも書いたが、株価が動くのは決算が良いか悪いかではなく、市場が思っていた線とどれだけ違ったかだ。計画比+2.89%の純利益は、サプライズと呼ぶには小さい。いっぽうで来期の営業利益+2.38%という数字は、上げてきた株価が前提にしていたものと差があるかもしれない。
こういう場面で、私は寄り付きの値段に飛びつかない。出来高を伴って上がり始めたかどうかを確かめてからでも遅くない。今日の1日で答えが出るとも限らず、数日かけて水準を探る動きになることもある。
北川精機(6327)──利益だけが計画を大きく超えた
プレス機や積層板製造装置を手がける会社で、市場はスタンダードだ。こちらも2026年6月期の本決算になる。
| 項目 | 実績 | 修正後計画 | 計画比 | 前期比 |
| 売上高 | 66億700万円 | 66億円 | +0.11% | +6.10% |
| 営業利益 | 9億4900万円 | 8億5000万円 | +11.65% | +52.33% |
| 経常利益 | 10億3100万円 | ― | ― | +72.12% |
| 純利益 | 7億5000万円 | 6億1000万円 | +22.95% | +90.36% |
この会社は6月19日に業績予想を上方修正している。上の修正後計画はその値だ。その修正後の計画すら、営業利益で11.65%、純利益で22.95%上回った。6月の修正前の計画と比べれば、営業利益は43.79%、純利益は70.45%の超過になる。
売上高だけは計画比+0.11%とほぼ計画どおりだ。売上は動かず、利益だけが大きく伸びた決算ということになる。営業利益率は前期の10.00%から14.36%へ、4.36ポイント改善している。
昨日の記事では、4Qに必要な額を売上高24億4500万円、営業利益1億6800万円、純利益8800万円と出した。実際の4Q単独は売上高24億5200万円、営業利益2億6700万円、純利益2億2800万円。営業利益は必要額の158.93%、純利益は259.09%だ。売上の進捗より利益の進捗がはるかに先行していると書いたが、4Qはその傾向がさらに強く出た。
配当は年23円で着地した。計画の20円を15.00%上回り、前期の12円からは91.67%の増配になる。
来期計画の置き方
| 項目 | 来期計画 | 今期実績比 |
| 売上高 | 100億円 | +51.35% |
| 営業利益 | 12億円 | +26.45% |
| 純利益 | 8億1000万円 | +8.00% |
売上高を1.5倍にする計画だ。パン・パシフィックHDの営業利益+2.38%と並べると、置き方の性格がまるで違うことがわかる。予想年間配当も25円に引き上げている。
ただこの計画には、見ておくべき点がある。売上高が51.35%増えるのに営業利益は26.45%増、純利益は8.00%増にとどまる。営業利益率で見ると今期の14.36%から来期は12.00%へ下がる置き方だ。今期は売上が伸びずに利益が伸びた年だったが、来期の計画は売上を大きく伸ばして利益率は落ちる形になっている。
スイング目線
18日終値は3935円で前日比▲1.25%。高値4110円・安値3700円で、日中値幅は10.29%あった。出来高162万7300株は20日平均の2.12倍、売買代金63億6800万円。20日平均の日中値幅は11.37%で、パン・パシフィックHDの2.77%の4倍を超える。
株価の位置は昨日の記事でも触れたが、あらためて書いておきたい。7月2日の高値9480円から7月29日の安値2615円まで下げ、そこから18日の3935円まで50.48%戻した。それでも7月の高値からは58.49%下にいる。1か月半のあいだに、これだけの幅を往復している銘柄だ。
Point
数字そのものは強い。計画を超え、増配もし、来期は売上1.5倍の計画を置いた。ただし要注意と付けたとおり、この銘柄は日中値幅が10%を超える。良い数字が出たときの反応も大きいが、逆に振れたときの幅も同じだけある。
加えて、こういう小型株では上方修正を出した時点である程度は織り込まれている、という見方もできる。6月19日の修正で株価はすでに動いている可能性があり、今回の着地がそこからどれだけ上振れたかが問われる。決算が良かったから上がる、と単純に置けない理由がここにある。
私なら、今日の寄り付きで判断しない。値幅の大きい銘柄ほど、最初の値段は当てにならない。1日の値動きを見て、出来高を伴って方向が定まってからでも遅くはないと考えている。
【本日発表予定】あい ホールディングス(3076)
今日19日に決算発表を予定するのは2社。プライムの事業会社はあい ホールディングス(3076/卸売業)の1社で、もう1社はマリモ地方創生リート投資法人(3470)だ。REITは分配金と稼働率で見るもので、四半期の決算区分もない。決算の数字が市場の予想とどれだけ違ったかを見るこの連載の切り口とは、そもそも性質が異なるので、銘柄名と決算期の事実だけを挙げておく。
あいHDは昨日の記事で明日の号で扱うと書いた会社だ。過去の開示は15時30分なので、今日も引け後の開示になる見込みで、市場が反応するのは明日20日になる。
見どころ
3Q(2026年5月15日開示)までの累計は、売上高647億3300万円、営業利益87億1900万円、経常利益99億1400万円、純利益96億4300万円。通期計画は売上高900億円、営業利益107億円、経常利益114億円、純利益103億円だ。
進捗率を並べると売上高71.93%、営業利益81.49%、経常利益86.96%、純利益93.62%になる。売上から純利益へ向かうほど進捗が上がっていく形で、純利益はすでに計画の9割を超えている。
4Qで見る数字
通期計画に届くために4Qの3か月で必要なのは、売上高252億6700万円、営業利益19億8100万円、純利益は6億5700万円だ。前期の4Q単独の純利益は40億2100万円だったので、今期に必要な額はその16.34%でしかない。純利益の計画達成そのものは、かなり手前まで来ている。
ここで注意しておきたいのが前期との比較だ。前期は純利益212億8000万円が営業利益88億8900万円の2.39倍という形をしていた。本業の利益より最終利益がはるかに大きい。今期の通期計画では純利益103億円で、前期比51.60%減という置き方になっている。この減益率は事業が悪くなったという意味ではなく、前期に本業以外の利益があった影響と読むのが自然だ。今期計画は売上高が前期比35.96%増、営業利益が20.37%増なので、本業の側はむしろ伸びる計画である。
配当は5月15日に、予想を110円から125円へ13.64%引き上げている。前期の100円からは25.00%の増配になる計画だ。
スイング目線
18日終値は2936円で前日比▲0.31%。高値2959円・安値2922円、日中値幅は1.26%だった。出来高12万7700株は20日平均の0.79倍で、売買代金は3億7500万円。20日平均の日中値幅は1.94%で、北川精機の11.37%とは性格がまるで違う。7月1日比では+11.55%、直近70日の高値2997円(8月10日)からは2.04%下という位置だ。
同じ6月期の本決算でも、値動きの荒さがこれだけ違う。決算をまたぐかどうかを考えるとき、決算の中身と同じくらい、その銘柄がふだんどれだけ動く銘柄なのかは見ておきたい。
今後の決算発表予定──またぎ注意
決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。
今週の並びは、今日19日が2社、20日が1社、21日が2社。事業会社の本決算は今日のあいHDが最後で、20日は日本リート投資法人(3296)のみとなる。先週までの数百社規模から完全に落ち着いており、またぐかどうかで悩む場面はほとんどない週だ。
その先も8月25日のインヴィンシブル投資法人(8963)、26日のジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)とREITが続く。
この時期にやっておきたいのは、持ち株の決算発表日を確かめておくことだ。発表が少ない時期は、決算以外の材料で株価が動く。金利・為替・原油といった相場全体の材料が、18日のように効いてくる。
損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。
「プライム平均株価」について
プライム平均株価は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した、当サイトの独自指標だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけず、1銘柄を1票として数える。8月18日の対象は1557銘柄だった。
日経平均は株価平均型なので、株価の高い値がさ株の動きが指数に強く出る。TOPIXは時価総額加重なので、大型株や金融・内需の動きが効く。これに対してプライム平均株価は全銘柄を等しく1票として扱うため、数のうえで上げた銘柄が多かったのかを見るのに向いている。
18日はこの差が大きく出た日だった。日経平均は▲2.54%だが、プライム平均株価は▲0.27%にとどまる。上げた銘柄は722で46.4%、下げた銘柄は784で50.4%と、数のうえではほぼ拮抗していた。指数の下げ幅は、値がさの半導体関連が売られたことで大きく見えていた面がある。持ち株のセクターによって、18日の体感はまるで違ったはずだ。
ただし、これは日経平均より優れた指標という意味ではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。プライム平均株価は、値がさ株の影響を受けない見方をするとどう見えるか、という補助線として置いている。
なお株価は分割調整後の値を使い、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄のみを対象にしている。この指標は当社が独自に計算したものであり、取引所等が公表する指数ではない。
※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信にもとづく(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス:2026年6月期本決算、北川精機:2026年6月期本決算および2026年6月19日開示の業績予想の修正、あい ホールディングス:2026年6月期第3四半期および2026年5月15日開示の配当予想の修正)。開示時刻および決算数値はJPX公式のJ-Quants APIによる。株価・出来高・売買代金・日中値幅はJ-Quants APIによる2026年8月18日終値時点の値で、株価は分割調整後の値を使っている。日経平均の終値・前日比は日経平均プロフィルの公表値、TOPIXはJ-Quants APIによる。18日の市況、セクター別の騰落、日経平均への寄与度、日経平均ボラティリティー・インデックスおよび25日移動平均線乖離率は報道による。発表予定はJPX「決算発表予定会社一覧」による。
※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。
記事を書いた人
コマンドY
スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。






