大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。
8月6日の東京市場
| 指標 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 6万5683円26銭 | 617円18銭安(▲0.93%) |
| TOPIX | 4055.85 | 9.68pt高(+0.24%) |
| プライム平均株価 | ― | +0.64% |
| 上げた銘柄/下げた銘柄 | 1130/401 | 72.6%/25.8% |
※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。
3つの数字の向きが揃っていない。日経平均は0.93%下げたのに、TOPIXは0.24%上げ、プライム平均株価は0.64%上げている。上げた銘柄は1130、下げた銘柄は401で、数のうえでは7割が上げた日だった。
理由は日経平均の作りにある。日経平均は構成銘柄の株価を足して割る「株価平均型」なので、株価の高い銘柄ほど指数を動かす力が大きい。6日は東京エレクトロン1銘柄で日経平均を約323円押し下げており、下げ幅617円18銭の半分以上を1社が作った。値がさ株が売られると、他の1500銘柄が上げていても日経平均は下がる。
プライム平均株価はこの重みをつけず、1銘柄を1票として数える。日経平均の0.93%安は「値がさ株が売られた」という事実であって、市場全体が下げたという意味ではない。指数の数字だけを見て「昨日は下げた日」と受け取ると、実際の相場を読み違える。
680社という数字の意味
本日は680社が決算発表を迎える。7月31日の266社、8月6日の323社を大きく上回り、今シーズンで最も多い日だ。
内訳はスタンダード347社、プライム297社、グロース36社。決算種別では1Qが514社と全体の4分の3を占める。
社数が多い日は、一覧を眺めても何も見えてこない。680社を順番に追うのではなく、見るべき数社を先に決めて、そこだけ深く読む。残りは自分の持ち株が含まれているかどうかだけ確認すればいい。
前日の相場は3日ぶりの反落
6日の日経平均は3日ぶりの反落だった。売られた理由ははっきりしている。前日5日に急伸した値がさの半導体株に、利益確定の売りが出たためだ。前夜の米国市場でナスダックが下落に転じた流れを引き継いでいる。
一方で決算を手がかりにした個別の物色は活発で、好業績の銘柄に資金が向かった。プライム平均株価が上げているのはそのためだ。決算が評価される地合いは続いている。
なお本日は台風の影響でトヨタ自動車が国内9工場を停止する。トヨタは本日の発表銘柄ではないが、部品を納める会社の決算を読むときは頭の隅に置いておきたい。
☆【注目度S級】リクルートホールディングス(6098/サービス業) 3月期1Q プライム
見どころ:前期2026年3月期は売上収益3兆6973億円で3.9%増、営業利益6305億円で28.5%増だった。注目すべきは増益率ではなく利益率のほうだ。売上高営業利益率は前期の13.8%から17.1%へ上がっている。売上が3.9%しか伸びていないのに営業利益が28.5%伸びたということは、増えた売上以上に利益が増えたということで、稼ぎ方そのものが変わったと読める。
1Qで見る数字:今期2027年3月期の会社計画は売上収益4兆0300億円で9.0%増、営業利益7870億円で24.8%増だ。前期の3.9%増から売上の伸びを9.0%へ引き上げる計画になっている。1Qでこの9%成長のペースに乗れているかどうかが最初の関門だ。通期計画に対する進捗率でいえば、営業利益7870億円の4分の1にあたる約1970億円が目安になる。ここを大きく下回るなら下期偏重の計画ということになり、その根拠が説明されているかを見たい。
スイング目線:6日終値は1万2845円で前日比0.98%高、3営業日では3.71%高だ。日経平均が617円下げた日に上げており、値上がり寄与では10位に入っている。半導体が売られた日に買われているので、相場全体の地合いとは別の理由で動いていることになる。売買代金は477億円と厚く、値がさ株のわりに板は薄くない。
Point:利益率が13.8%から17.1%へ上がった会社の1Qは、数字そのものより「その利益率が続いているか」を見る。一度上がった利益率は、上がった理由が一過性なら元に戻る。私なら1Qの営業利益率が17%前後を保てているかどうかを最初に確かめる。前日に上げているぶん、良い数字が出ても織り込み済みで反応が鈍いことは十分にありうる。
◎【注目度A級】オリンパス(7733/精密機器) 3月期1Q プライム
見どころ:前期は売上高1兆0106億円で1.3%増と過去最高を更新した。ところが営業利益は971億円で40.2%減、純利益は681億円で42.2%減だ。売上は最高でも利益は4割減った。売上高営業利益率は前期の16.3%から9.6%へ落ちている。私が『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、売上が伸びていて利益が減っている会社は、どこかに無理が出ている。上のリクルートとちょうど逆の1年だ。
1Qで見る数字:今期の会社計画は売上高1兆0550億〜1兆0760億円で4.4〜6.5%増、営業利益は1365億〜1555億円で40.5〜60.1%増と、レンジで示されている。幅があること自体が「読みきれていない」という会社の意思表示だ。前期の落ち込みの主因は米国関税の影響や原価率の悪化とされており、1Qではこの原価率が戻っているかを見たい。営業利益率が前期の9.6%から10%台へ戻せているかが分かれ目になる。なお同社は整形外科事業を非継続事業に分類しており、売上高と営業利益は継続事業ベースの数字だ。前期と比べるときはこの点に注意したい。
スイング目線:6日終値は1872円で前日比3.60%高、3営業日では2.91%高だ。日経平均が下げた日に3.6%上げている。売買代金は77億円で、リクルートの477億円と比べれば5分の1以下だが、流動性に不安のある水準ではない。
Point:レンジ計画の会社は、1Qの数字より「レンジのどちら側を見ているか」というコメントのほうが効くことがある。上限と下限で営業利益は190億円違う。数字が良くても会社が下限寄りの説明をすれば、株価はそちらに反応する。発表の直後に飛びつかず、反応を見てから動けばいい。決算をまたいで持つ理由が、私には見当たらない。
★【要注意D級】ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324/機械) 3月期1Q プライム
S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。
見どころ:ロボットの関節に使う減速機の会社だ。前期は売上高595億円で7.0%増、営業利益は25億円だった。前期の営業利益がわずか600万円だったため、短信では増減率が「-」と表示されている。ほぼゼロだった利益が25億円まで戻った、というのが前期の実態だ。一方で純利益は16億円で53.7%減と、こちらは半分以下になっている。営業利益は戻ったのに純利益は減るという、方向の違うねじれが起きている。
1Qで見る数字:今期の会社計画は売上高680億円で14.2%増、営業利益62億円で141.5%増、純利益45億円で179.7%増だ。さらに上期だけを見ると営業利益30億円で544.5%増という計画になっている。通期62億円のうち上期で30億円、つまりほぼ半分を上期で稼ぐ前提だ。1Qの数字が上期計画の4分の1に届いているかどうかが、この計画の現実味を測る物差しになる。
スイング目線:6日終値は7130円で前日比3.52%安だが、3営業日では12.64%高だ。3日で1割以上上げたあと、前日に下げた地点での発表ということになる。直近20営業日の日中値幅は平均7.89%で、本日発表する銘柄の中で最も大きい部類に入る。売買代金は110億円あり、流動性は確保されている。
Point:この枠を「要注意」と呼んでいる理由は、値動きが大きい銘柄は逆にも同じだけ動くからだ。日中値幅7.89%は、1日のうちに7%以上動く日が平常だという意味で、良い方向にも悪い方向にも振れる。前期の営業利益が600万円という水準からの回復途上にある会社なので、数字が出た瞬間に評価が変わる余地は大きい。だからこそ、またぐのではなく結果を見てから判断したい。私なら3日で12%上げたという事実のほうを重く見る。
○【注目度プラス】
上の3社ほど深くは追わないが、数字の背景を知らずに1Qだけ見ると読み違える会社を挙げておく。680社もあると、こういう銘柄が一覧の中に埋もれる。
商船三井(9104/海運業) 3月期1Q この会社は8月3日に今期の業績予想を上方修正している。4月30日の短信では今期の純利益を1700億円、前期比20.3%減と見込んでいたが、これを2400億円へ引き上げ、前期比では増益に転じる形になった。ドライバルクの運賃が期初想定を上回ったことが理由だ。本日の1Qは「修正後の計画に対する1Q」であり、4月の短信の数字を基準に読むと判断を誤る。上方修正の発表日である3日に株価は4.17%上げており、材料としては一度織り込まれている。6日終値は6036円で前日比1.11%高だ。
キリンホールディングス(2503/食料品) 12月期2Q 12月決算なので本日出るのは2Q、つまり上期の締めにあたる。3月期の会社の1Qと同じ感覚で見ると、進捗率の意味を取り違える。上期が終わった時点なので、通期計画に対して5割前後まで来ているかが基準になる。6日終値は2927円で前日比3.43%高と、日経平均が下げた日に逆行して上げた。
サイバーエージェント(4751/サービス業) 9月期3Q 決算期が9月なので、本日は3Q。通期の残りは1四半期しかなく、通期計画の達成可否がほぼ見えるタイミングだ。3Qまでの進捗が7割台なら順当、6割台なら4Qにかなりの負荷がかかる。6日終値は1470円で前日比0.62%高と、動きは小さい。
ニトリホールディングス(9843/小売業) 3月期1Q 6日終値は2750円で前日比4.96%高。日経平均が617円下げた日に5%近く上げており、当日の値上がりとしては目立つ部類だ。上げた直後の地点で決算発表を迎える銘柄は、良い数字が出ても「織り込み済み」で反応が鈍くなることがある。3営業日では4.11%高で、上げのほとんどが前日1日に集中している。
川崎重工業(7012/輸送用機器) 3月期1Q 6日終値は2868円で前日比1.90%安だが、3営業日では5.93%高だ。前日比だけを見ると下げた銘柄に見えるが、3日前から見れば上げている。売買代金は292億円と本日の発表銘柄では厚いほうで、値動きも出やすい。防衛関連として物色される場面があり、業績以外の材料で動くことがある点は頭に入れておきたい。
【本日発表予定】
上に挙げた8社を除く、本日発表のプライム銘柄を決算期ごとに並べる。スタンダード347社・グロース36社は数が多いため割愛する。持ち株がある場合は、発表日かどうかをここで確認してほしい。
■3月期1Q(228社)
大林組(1802/建設業) ── 大手ゼネコン。手持ち工事の採算が読みどころ。
日揮ホールディングス(1963/建設業) ── プラント大手。海外案件の進捗で振れやすい。
テルモ(4543/精密機器) ── 医療機器。6日終値2312円で前日比1.05%高。
シャープ(6753/電気機器) ── 6日終値635円で前日比2.14%高。
日本郵政(6178/サービス業) ── 6日終値2395円で前日比1.61%高。
セブン銀行(8410/銀行業) ── ATM手数料が収益の柱。
コムシスホールディングス(1721) / 西松建設(1820) / 奥村組(1833) / 戸田建設(1860) / 熊谷組(1861) / 五洋建設(1893) / エクシオグループ(1951) / 三機工業(1961) / 昭和産業(2004) / UTグループ(2146) / パーソルホールディングス(2181) / 森永乳業(2264) / 雪印メグミルク(2270) / 宝ホールディングス(2531) / 日清オイリオグループ(2602) / 三浦工業(6005) / SMC(6273) / 井関農機(6310) / 東芝テック(6588) / 堀場製作所(6856) / シスメックス(6869) / 三井海洋開発(6269) / 広島ガス(9535) ほか
■12月期2Q(47社)
ブリヂストン(5108/ゴム製品) ── 12月期なので本日は上期の締め。
INPEX(1605/鉱業) ── 原油価格に業績が連動する。
日本ペイントホールディングス(4612/化学) ── 12月期の折り返し。
クラレ(3405/化学) ── 機能性樹脂。12月期なので本日は上期。
住友林業(1911) / サッポロビール(2501) / リガク・ホールディングス(268A) / ユーグレナ(2931) / ライオン(4912) / TOYO TIRE(5105) / 東洋炭素(5310) / ノーリツ(5943) / ソディック(6143) / サカタインクス(4633) ほか
■9月期3Q(9社)
オープンハウスグループ(3288) / FOOD & LIFE COMPANIES(3563) / 三洋貿易(3176) / ホソカワミクロン(6277) / 学研ホールディングス(9470) / TKC(9746) / 加藤産業(9869)
■6月期本決算(4社)
オープンアップグループ(2154) / グリーホールディングス(3632) / 前田工繊(7821) / コーア商事ホールディングス(9273)
■12月期1Q(1社)
ニチレイ(2871)
今後の決算発表予定
決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。
本日の680社で、今シーズンのピークは越える。来週は10日が244社、12日が203社、13日が217社、14日が354社と続く。山は越えるが、数が減るわけではない。持ち株の決算発表日は、今日のうちに確認しておきたい。
・8月10日(月) 244社
・8月12日(水) 203社
・8月13日(木) 217社
・8月14日(金) 354社
本日のように680社が一斉に出る日は、自分の持ち株が「その他大勢」に埋もれる。指数が動いても、それが自分の持ち株の話とは限らない。6日の相場がまさにそうで、日経平均は617円下げたのに、プライム平均株価は0.64%上げていた。指数を見て相場を判断するのではなく、自分の持ち株がどう動いたかを見る。冒頭にプライム平均株価を置いたのは、その材料を1つ増やすためだ。
損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。
「プライム平均株価」について
本日から記事冒頭に載せている当サイトの独自指数について、計算方法と考え方を記しておく。
東証プライム上場の全銘柄について前日比騰落率を出し、それを単純平均した数字だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけない。トヨタ自動車の1票も、時価総額がその100分の1の会社の1票も、同じ重さで数える。
既存の2つの指数と、重みのつけ方が違う。
・日経平均 株価で重みがつく。株価の高い値がさ株が効く
・TOPIX 時価総額で重みがつく。大型株・金融・内需が効く
・プライム平均株価 重みをつけない。全銘柄が等しく効く
日経平均とTOPIXは、基準が株価か時価総額かの違いはあれ、どちらも「大きい銘柄ほど強く効く」指数だ。そのため中小型株がそろって上げても、指数にはほとんど表れない。プライム平均株価はここを補う。
計算上の断りが3つある。第一に、これは当サイトが独自に計算した指数であり、取引所等が公表するものではない。第二に、株式分割を騰落と誤って数えないよう、株価は分割調整後の値を使っている。第三に、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄だけを対象とするため、新規上場や売買停止の銘柄は外れる。6日の対象は1557銘柄だった。
なおこの指数が日経平均より優れていると言いたいわけではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。ただ日経平均だけを見ていると、その日の相場を一部の銘柄の動きで判断してしまう。2つを並べて初めて、指数が動いた理由が「一部の銘柄」なのか「市場全体」なのかが分かる。
※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(リクルートホールディングス:2026年3月期決算短信〔IFRS〕2026年5月15日/オリンパス:2026年3月期決算短信〔IFRS〕2026年5月12日/ハーモニック・ドライブ・システムズ:2026年3月期決算短信〔日本基準〕2026年5月13日/商船三井:2026年3月期決算短信〔日本基準〕2026年4月30日)にもとづく。商船三井の上方修正後の予想値は同社の2026年8月3日発表および日本経済新聞の報道による。株価・出来高・日中値幅・売買代金、およびTOPIXの終値はJPX公式のJ-Quants APIによる2026年8月6日終値時点の値。日経平均の終値と6日の市況、日経平均寄与度は株式会社フィスコの配信記事による。発表社数は日本取引所グループの決算発表予定会社一覧による。プライム平均株価は、J-Quantsの分割調整後終値をもとに当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。東証プライム上場銘柄のうち、前営業日と当日の双方に終値がある1557銘柄を対象に、前日比騰落率を単純平均して算出した。
※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。
コマンドY/スイングトレーダー
著書『10万円を1年で100万円にする株式投資術』。Gold beans.で毎日、決算短信のポイントを解説。
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