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キオクシアら266社が決算発表、チェックすべきこの10社|決算ウォッチ

30日の日経平均は3日ぶりに反発した。ただ押し上げたのはアドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で約885円分だ。指数は戻っても、半導体の外にはまだ買いが戻っていない。本日266社が決算を発表する。今年最大の日だ。目玉のキオクシア(285A)は8営業日で38.5%下げたところでの1Q発表になるが、下げた理由は業績ではない。要注意D級にはニッポン高度紙工業(3891)を挙げた。266社と発表が多いので、埋もれやすい7社の短評も付けた。

コマンドY2026/07/31

キオクシアら266社が決算発表、チェックすべきこの10社|決算ウォッチ
  • キオクシア(285A)は前期営業益92.7%増。だが株価は8営業日で38.5%安
  • 山崎製パン(2212)は12月期2Q。熊本工場停止は今回の数字には入らない
  • 要注意D級はニッポン高度紙工業(3891)。前期営業益43.6%増でも1か月で37.5%安

熊本地震について(コマンドYより)

7月28日の熊本地震で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
いまも地震が続いています。現地の方はどうか安全を最優先にしてください。

この記事は、その日に決算を発表する会社の数字を読むためのものです。震災を投資の材料として扱うつもりはありません。工場の停止に触れる箇所がありますが、それは決算の数字を読むうえでの事実として書いています。

——コマンドY

指数は戻ったが、戻したのは2銘柄だった

30日の日経平均は3日ぶりに反発した。ただし中身を見ておきたい。押し上げたのはアドバンテストと東京エレクトロンで、この2銘柄だけで約885円分。前日まで3日続けて下げた反動と、米国市場でAI関連が買い戻された流れを受けたものだ。

指数が戻ったから相場が戻った、とは限らない。半導体の外に目を向けると、東証グロース市場250指数先物は続落している。買いが戻ったのは一部で、全体はまだ様子見が続いている。

その状態で、本日266社が決算を発表する。今年最大の日だ。

☆【注目度S級】

キオクシアホールディングス(285A/電気機器) 3月期 1Q プライム

 見どころ:前期(2026年3月期)は売上2兆3,376億円で37.0%増、営業利益8,704億円で92.7%増、純利益5,545億円で103.6%増。数字だけ見れば申し分ない。にもかかわらず、株価は7月22日の64,270円から30日の39,500円まで、8営業日で38.5%下げた。とくに28日は18.3%安、29日は13.9%安と、2日で3割近く消えている。

 下げた理由は業績ではない:きっかけは米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大きく下げたこと、同じNAND型メモリを手がける米サンディスクが急落したこと、そして子会社の訴訟に関する評決が伝わったことだ。会社の足元の業績が悪化したという発表があったわけではない。半導体セクター全体から資金が抜けた、という需給の話である。

 1Qで見る数字:前1Q(2025年8月発表)は売上3,428億円、営業利益449億円だった。前期の通期営業益8,704億円に対して、前1Qの進捗はわずか5.2%。つまりこの会社は期の後半に利益が集中する。1Qの数字が小さく見えても、それだけで判断はできない。前1Qの営業益449億円を上回るかどうかが、ひとつの目安になる。

 ただし今期の会社計画はない:同社は2027年3月期の通期予想を非開示としている。決算短信で確認した。したがって「計画に対する進捗」という物差しが使えない。市場予想との比較になるが、その予想も割れやすい。数字が出たあとの反応を見る以外に、確かめようがない。

 スイング目線:30日終値39,500円、前日比2.92%高。8営業日で38.5%下げたあとの小反発である。ここから決算をまたぐのは、平時よりさらに分が悪い。変数が2つあるからだ。決算の中身と、半導体セクターに資金が戻るかどうか。どちらか一方が読めても、もう一方は読めない。

 Point:数字が良くても株価が下がることはある。今回はその典型で、下げた理由が業績ではなく需給だった。ここで難しいのは、「業績は悪くないのだから戻るはずだ」と考えたくなることです。私なら、その考えは一度脇に置きます。下げ止まりは下げ幅では確認できない。その後の値動きと出来高でしか確認できないからだ。『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、落ちてくるナイフは掴まない。上がり始めを、出来高を伴って確認してからでも遅くない。

◎【注目度A級】

山崎製パン(2212/食料品) 12月期 2Q プライム

 見どころ:12月期なので、本日出るのは2Q=上期(1〜6月)の数字になる。前期(2025年12月期)は売上1兆3,114億円で5.4%増、営業利益611億円で17.9%増、純利益409億円で13.5%増。増収増益で着地している。

 熊本工場の停止について:同社は7月30日、熊本地震の影響で熊本工場(熊本県宇城市)の操業を停止していることを明らかにした。生産設備の点検を進めているという。あわせて本社内に対策本部を設置し、30人を現地へ派遣。福岡工場で生産したパンなど1万個を被災地へ送っている。

 ここで確認しておきたいのは、本日発表される数字は1〜6月期のものであり、7月28日に起きた地震の影響は今回の決算には入らないということだ。工場停止が業績に反映されるとすれば3Q以降になる。今回の数字と地震の話は、分けて読む必要がある。

 2Qで見る数字:前年同期(2025年上期)は売上6,506億円、営業利益347億円だった。前1Q(2026年1〜3月)は売上3,337億円で前年同期比4.7%増、営業利益183億円で9.0%増と堅調に来ている。この流れが上期でも続いているかどうか。前期実績で見ると、上期は通期営業益の56.7%を稼ぐ構造なので、上期で350億円前後なら例年並みのペースということになる。

 スイング目線:30日終値3,598円、前日比2.12%安。直近4営業日では6.17%高で、下げたのは前日だけだ。売買代金は40.8億円で、値動きは大きいほうではない。食品株は相場全体が荒れているときに資金の逃げ場になりやすいが、今回は決算と工場停止の両方が重なる。

 Point:地震の影響が今回の数字に入らないことは、決算を読むうえでは重要な前提だ。ただ、それとは別に、同社が停止した工場を抱えながら別の工場から1万個のパンを被災地へ送っていることは、記録しておいていい事実だと思います。数字の話とは別のところで。

★【要注意D級】

S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。

ニッポン高度紙工業(3891/パルプ・紙) 3月期 1Q

 見どころ:アルミ電解コンデンサ用のセパレータで高いシェアを持つ会社だ。前期(2026年3月期)は売上186億円で16.2%増、営業利益35億円で43.6%増、純利益26億円で48.3%増。営業益が4割増えている。

 それでも株価は1か月で37.5%安:ここが要注意D級たるゆえんだ。業績は伸びているのに、直近1か月で37.5%下げている。電子部品はAI関連の物色対象になりやすく、上げるときも下げるときも実態以上に振れる。今回は巻き戻しの局面に入っている。

 1Qで見る数字:前1Q(2025年7月発表)は売上46億円、営業利益9億円だった。前期通期に対する前1Qの進捗は営業益で24.2%。四半期ごとにおおむね均等に稼ぐ構造なので、1Qで9億円前後が例年並みということになる。ここを上回るか下回るかが目安だ。

 スイング目線:30日終値5,730円。日中値幅は直近20営業日の平均で7.41%と、当日発表銘柄のなかで最も大きい。売買代金は14.9億円で、この枠の足切り(5億円)は超えているが、大型株と比べれば薄い。出来高は20日平均の1.47倍まで増えており、すでに動き始めている。

 Point:値幅7.41%というのは、1日で1割近く動く日があるということだ。動くということは、逆にも同じだけ動く。業績が伸びているから下値は堅い、という理屈は通らない。現に1か月で4割近く下げている。私なら、この銘柄は決算前には持たない。数字を見てから、上がり始めを確認して入るほうが、リスクの取り方としてはまだ理屈が通る。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

○【注目度プラス】

上の3社ほど深くは追わないが、数字の背景を知らずに読むと判断を誤りやすい会社を挙げておく。266社もあると、こういう銘柄が一覧のなかに埋もれる。

三菱ケミカルグループ(4188/化学) 3月期1Q ── 前期の数字がいびつだ。3Q時点で営業益1,133億円あったものが、通期では301億円に減っている。4Qだけで832億円分が消えた計算になる。純利益も3Q時点1,054億円から通期118億円へ。したがって「前期比」を機械的に取ると実態とかけ離れる。1Qは前年同期と比べるほうがいい。30日終値1,138円、前日比1.56%安。

旭化成(3407/化学) 3月期1Q ── 前期は売上3兆745億円、営業益2,312億円、純益1,588億円。前1Qの営業益536億円は通期の23.2%で、四半期ごとにほぼ均等に稼ぐ。1Qで550億円前後なら例年並み。30日終値1,810円、前日比1.12%安。

双日(2768/卸売業) 3月期1Q ── 商社は営業利益を開示しない会社があり、同社もそのひとつ。前期は売上2兆7,573億円、純利益1,036億円。前1Qの純益211億円は通期の20.3%。営業益で比べようとすると数字がないので、純利益で追う必要がある。30日終値5,345円、前日比0.13%高とほぼ動かず。

ヤクルト本社(2267/食料品) 3月期1Q ── 前期は売上4,864億円、営業益452億円。前1Qの営業益109億円は通期の24.1%。海外飲料の比率が高く、為替の影響を受けやすい。30日終値2,903円、前日比0.29%安。

住友ファーマ(4506/医薬品) 3月期1Q ── 前期の利益の出方が特殊だ。2Q時点で営業益962億円あり、通期は1,073億円。つまり下期はほとんど積み上がっていない。上期に一時的な要因があったとみるべきで、前期比で今期を測ると読み違える。30日終値1,290円、前日比1.94%高。

インフォマート(2492/サービス業) 12月期2Q ── 12月期なので本日は上期の数字。前期は売上188億円、営業益28.6億円。注意したいのは株価位置で、直近1か月で53.2%上げている。上げた地点での発表になる。日中値幅も5.04%と大きい。30日終値567円。

東洋水産(2875/食料品) 3月期1Q ── 前期は売上5,366億円、営業益858億円。前1Qの営業益183億円は通期の21.3%。北米の即席麺が利益の柱で、為替と現地価格の動向が効く。30日終値11,355円、直近4営業日で3.75%高。

【本日発表予定】

上記10社を除く256社が本日発表する。主なものを決算期ごとに挙げる。

■3月期 1Q

大東建託(1878/不動産業) ── 賃貸住宅大手。前期は売上1兆9,847億円、営業益1,353億円。30日終値3,505円、前日比2.67%安。
積水化学工業(4204/化学) ── 住宅と高機能材料。前期営業益1,065億円。30日終値2,734円。
小野薬品工業(4528/医薬品) ── オプジーボの特許動向が焦点。30日終値2,458円。
ZOZO(3092/小売業) ── 前期は売上2,284億円、営業益694億円。30日終値1,196円、前日比2.37%安。
トヨタ紡織(3116/輸送用機器) ── 自動車内装。30日終値2,420円。
関電工(1942)/日本電設工業(1950)/中電工(1941)/四電工(1939)/新日本建設(1879)/明星工業(1976)/中部飼料(2053)/DM三井製糖(2109)/キーコーヒー(2594)/フジッコ(2908)/デジタルアーツ(2326)/テクマトリックス(3762)/八洲電機(3153)/明治電機工業(3388)/富士紡ホールディングス(3104)/小松マテーレ(3580)/トーモク(3946)/旭有機材(4216)/リケンテクノス(4220)/積水化成品工業(4228)/ハリマ化成グループ(4410)/石原ケミカル(4462)/クイック(4318)ほか

■12月期 2Q

セルシス(3663)/東亞合成(4045)ほか

■9月期 3Q

キャリアデザインセンター(2410)ほか

このほかスタンダード・グロースの銘柄が101社発表する。

今後の決算予定 またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

本日266社を通過すると、8月3日に72社が控える。7月最終週で発表のピークはいったん越えるが、8月上旬まで断続的に続く。持ち株の発表日を確認していない人は、今日のうちに見ておきたい。

とくに今週は、指数が上下に大きく振れた週だった。28日に日経平均が2,566円安、30日は3日ぶり反発。この地合いで決算をまたぐと、決算の中身が良くても相場に引っ張られる。逆もある。判断の変数を増やさないほうがいい。

損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信、およびJPX公式のJ-Quants APIによる。キオクシアホールディングスの前期実績は2026年5月15日公表の2026年3月期決算短信で確認した。株価・出来高・日中値幅はJ-Quants APIによる7月30日終値時点の値。日経平均の30日の動きと市況は報道による。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
記載内容は将来の株価や利益を保証するものではありません。
株式の売買はご自身の判断と責任において行ってください。

コマンドY/スイングトレーダー
著書『10万円を1年で100万円にする株式投資術』。Gold beans.で毎日、決算短信のポイントを解説。
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この記事を書いた人

コマンドY

コマンドYスイングトレーダー

大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。最近ではAIを駆使し、銘柄研究を行っている。

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