大手不動産会社で産業保健活動を行う一方、都内で親子や夫婦の関係改善のためのプライベートカウンセリングを実践している。また、最近は、Webカウンセリングも行い、関東甲信越や東北地方の人たちとのセッションにも力を入れている。
園芸療法で人から自然との触れ合いへとスイッチ

カウンセリングから、一時とはいえ、社交的な場で働くことができていたので、自分自身で「やれている」と感じさえすれば、そこから自分の居場所は作れるかも知れないと思い、私は男性に思い切って園芸療法というリハビリテーションを勧めてみました。
このリハビリテーションは、老人施設の庭の手入れから実践的に学ぶというものです。
言葉に敏感な社交不安の方に、少し人と離れ、土や花、植物といった身の回りにある自然を通して、五感を使ってもらう――人と少し離れるそんなリハビリテーション。男性にとって人間関係だけがすべてはないということを感じとってもらうことがいいのではないか、と提案してみました。
一瞬、男性は驚いたような表情を浮かべましたが、自宅からそう遠くない場所だったこともあり快諾します。
リハビリテーションを受けたあとカウンセリングに来た男性の話では、園芸療法では、花壇の植え替えから、種まき、そしてハーブを使った石鹸づくりをした、とのこと。
「青空の下で黙々と土と紛れる作業では、相手からどう思われているか、なんて考える余地もなくて、ただ土を掘り、花を植える、それだけでも気分が良くなりました」
そして、 「休憩のときに土の付いた軍手をしたまま飲んだコーヒーの味が今でも忘れられません」と笑顔を浮かべました。
ありのままの自分でつくる対人関係
園芸療法で植物に触れることの楽しさを実感した男性は、自分の作った花壇を久しぶりにインスタグラムにアップするようになります。
すると、フォロワーから都心から少し離れたた場所で農業の研修があるという情報を得ます。思い切って、それに男性は参加します。
「研修に来ていた人は、全員が同世代の男性で、しかも、飲食店経験者や学習塾の講師までさまざまな人がいたので、不思議に身近に感じた」
と笑顔をこぼれます。その日焼けした横顔からは、かつての沈鬱な表情が消え、揺るぎない自信さえも感じるほどでした。
この男性のカウンセリングはわずか数回でしたが、華やかな夜の世界からの転向で、これまでと違った社会とのつながりを自分らしくやり直すお手伝いができたのではないかと思っています。









