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ヤマダデンキ、巨大不動産会社へ「くらしまるごと」戦略の全貌

家電量販店から住宅産業への参入したヤマダ。いまや傘下企業は50社をあまりにのぼる。そのヤマダがこの先に描く戦略とは何か。

山下努2025/01/08

住宅事業の“切り込み隊長”ヤマダホームズ

清村浩一・ヤマダホームズ社長

そんなヤマダの住宅事業を牽引するのが2018年に設立された「ヤマダホームズ」(社長・清村浩一)である。

さまざまな企業を買収するヤマダの戦略は、まさに「成長を買う。時間を買うということ」という。だが、「住宅分野救済型のM&Aは時間がかかる」と積極的な企業買収の戦略について見直しも行っている。その理由は、人口減少下で住宅市場も萎んでゆくことからだという。

買収に次ぐ買収で住宅メーカーに変貌しつつあるヤマダの中核的な存在がヤマダホームズで、 M&Aした住宅関連会社を吸収してきた。
現在の同社の事業領域をみると、建築、土木工事の設計・施行・請負・不動産の売買・賃貸・管理・不動産鑑定・住宅の保守・点検などが幅広い。加えて、家具や内装品、住宅設備機器、医療機器、自動車(EV)の販売も手掛ける。
まさにこの幅広い業務内容こそがヤマダの「くらしまるごと」戦略なのである。

ヤマダが手に入れた主な住宅関連企業は次の通りである。
2017年1月 ハウステック 住宅設備機器
2020年9月 ヒノキヤグループ 注文住宅
2020年7月 秀建 新築戸建住宅分譲 ヤマダホームズグループ
2021年2月 ヤマダレオハウス 住宅販売 ヤマダホームズに吸収合併
2021年2月 ヤマダ不動産 不動産販売 ヤマダホームズに吸収合併
2021年2月 ワイ・ジャスト 住宅リフォーム
2021年2月 家守りホールディングス 住宅リフォーム

そして、2021年には、これら住宅関連会社をまとめる中間持株会社としてヤマダ住建ホールディングスが発足した。

手当たり次第のM&Aに隠された戦略

こうした住宅関連に力を入れるヤマダだが、清村氏は「10年先はわからない社会。2030年には世帯数が減る。総人口が減れば家電も売れなくなる」と話す。

これからは住宅製造販売だけでなく、住生活に多角的な見方ができないと生きていけない時代だ。現在、ヤマダホームズには不動産事業部があるが、さらに不動産事業を拡大し、建設と不動産を兼ね備えた不動産デベロッパーも視野にある。

事業領域が広がるなかで、ヤマダ電機の本体はヤマダホールディンスグスとなり、事業を家電販売、住建、金融、環境の4つのセグメントに分類している。

どれも住宅に関係するが、住建セグメントにはヤマダ住建ホールディングス、ヤマダホームズ、ワイ・ジャスト、家守り、ハウステック、ヒノキヤグループの各社がラインナップしている。これらM&Aで集めた各社によって「くらしまるごとシナジー化」するのが狙いだ。
そして、この延長線上にあるのが住宅と家電をネットでつなげるスマートハウス事業で、今後の経営戦略の中核になる。

また、住宅の周辺分野として、太陽光発電設備やEV充電器の販売や設置、保険やローンなども充実させている。

育成中のEV自動車分野では、トヨタ系の人材を引き抜いている。現在は、家電やITなど最新設備を備えたYAMADAスマートハウスを2024年から供給している。同年秋からは米テスラの家庭用蓄電池を、全国1000店の家電量販店で順次注文を受け付け、販売を開始。ヤマダの住宅や太陽光発電設備と組み合わせる。

ヤマダデンキ店舗で販売開始されたTesla蓄電池「Powerwall」

屋根に設置した太陽光発電の電気を販売も可能にしつつ蓄電池に充電。電気を自分で作って自分で使うというのがヤマダが考えるスマートハウスの戦略の最終形だ。
さらに家の発電装置や蓄電池を制御する仮想発電所(VPP)の構想も温めており、電力供給で家庭の電気代の削減を目指している。
実際、旧レオハウス系の住宅とEVのセットで、3000万円程度で売る先端住宅も販売メニューにある。

銀行から保険…住宅事業を支える周辺事業

こうした住宅販売を支援するのが金融セグメントである。
住宅販売のローン完済時に80歳未満であれば、最長50年の住宅ローンが組める。月々6万円程度の賃貸住宅の家賃並みの安さをPRしている。
ヤマダファイナンスサービスでは住信SBIネット銀行とも提携し、「ヤマダNEOBANK」を作って銀行業を始めている。期間固定金利住宅ローン「ヤマダフラット35」「ヤマダNEOBANK住宅ローン」。リフォームや家電・家具ご購入 のお客様には「ヤマダリビングローン」などを提供している。
また、リフォームの相談窓口を置く大型店は30店から80店規模にする構想だ。

2022年12月に買収したフラット35専門ハウス・デポ・パートナーズでは、10割融資を可能とする変動金利型住宅ローン「ハウス・デポ【MIX】」のほか、各種保証・損害保険も扱う。
このほか、クレジットカードのヤマダフィナンシャル、火災保険・地震保険を扱うヤマダ少額短期保険がある。

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この記事を書いた人

山下努

山下努経済アナリスト

不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp

 

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